日本料理
直
四季の移ろいを表す
日本料理の奥深さを
那古野で愉しむ
岐阜市の名店で11年間、日本料理の研鑽を積んできた天野直さんが円頓寺商店街から一本入った路地裏に日本料理店を出すことになったのは、ちょっとした偶然だったという。独立を夢見て、探した物件は40件以上。だが、思うような出会いがなく、半ば諦めた頃に「那古野にいい物件があるよ」と声がかかった。それが現在の店舗だ。
「この物件はもともと空き家になった普通の民家だったのですが、2階建てで、自分が集めてきた器を置いておくスペースもある。一目見て気に入りました。実は物件を探している最中は、那古野に店を出すなんて思いもよらなかったのですが、料理修業のため那古野の生け花教室に通っていたことからも、この場所に縁を感じました」。
この日を夢見て
集めた器に
店主の想いをのせて
グレーの壁に白い暖簾、小さな坪庭もしつらえられた外観は、那古野という街にしっくり馴染む。戸を引くと、凛とした佇まいのカウンター席が6席並び、調理場に立つ天野さんが出迎えてくれる。
昼・夜ともコースで提供される料理は一皿一皿、食材の味を大切にし、繊細にアレンジしたものばかり。店主が長年かけて少しずつ集めてきたという器や、料理の盛り付けからも季節を楽しませてくれる。例えば、晩秋のある日に供された先付けは、大徳寺麩・柿・カリフラワーの白花和えを層にして、雪輪を形作ったカブを添え、氷もちを散らした一皿。「どんな味だろう?」と想像力をかき立てられながら美しく盛られたそれに箸を入れ、ひと口。上品でありながら、食材の味わいもしっかり。組み合わせの妙も堪能させてくれる。刺身の盛り合わせや八寸も雪を見立てた盛り付けで、冬の始まりを表現。料理の取り合わせも見事だ。これを天野さんと会話しながら味わえるというのも贅沢だ。
そんな料理が話題を呼び、『日本料理 直』にはオープン間もなくして様々な客層が訪れている。「開店前に店を工事している際、気にかけて見に来られた近所の方が来店してくださったり、周囲の料理店の方が『日本料理店ができたみたい』と紹介して自分のお客様を連れてきてくださったり。ありがたい限りです」。那古野で出会った人たちに支えられ、その温かさを痛感しているという。
そんな天野さんの日課は、早朝に柳橋まで自転車を走らせ、仕入れに行くこと。仕事が一段落したら、近所の喫茶店でコーヒーを楽しみ、休憩することも多々あるのだとか。
「那古野は環境もよくて、楽しい街だなと思います。それに近所の方々や、店を営む先輩たちは、那古野という地域のことをよく知っていて、色々と教えてくださる。那古野は自分にとって縁のない土地でしたが、こういった方たちと会話していると、那古野にもっと恩返したいなと思います。今はオープンしたばかりで、店を回していくだけで精一杯なのですが、落ち着いたら、那古野という街を盛り上げていけるよう、自分も応えていきたいですね」。
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- 日本料理 直
にほんりょうり なお - TEL:052-526-7350
住所:名古屋市西区那古野1-21-6-2
営業時間:12:00~14:00、18:00~22:00
定休日:水、不定休
- 日本料理 直