鶏そば
那ご乃樹
ラーメン屋らしからぬ空間で
地産地消にこだわった
至極の一杯を
江川線から東へ1本入った那古野エリアの裏路地、新長屋筋。和食店を思わせる店の扉を開けた瞬間に目に飛び込んでくるのは、カウンター越しに見えるオープンキッチンと2階まで吹き抜けにした爽快感たっぷりの空間。お一人様もグループでも気軽に利用できる、ラーメン店らしからぬお洒落な雰囲気が漂うここ『鶏そば 那ご乃樹』は、食べログ・ラーメン部門で最高得点を獲得したことでも知られる春日井市の名店『はる樹』の店主・新本茂樹さんが「ラーメン屋らしくないラーメン屋」をコンセプトに築90余年の古民家を理想の空間に仕上げ、オープンさせた2号店だ。
ここで味わえるのは、「他県から来店していただいた方に地元の味を楽しんでもらいたい」との思いから地産地消にこだわった渾身の一杯。スープに使う鶏ガラには名古屋コーチンと錦爽鶏、醤油は明治7(1874)年にあま市七宝町で創業した尾張地区唯一の老舗醸造所「佐藤醸造」の熟成醤油、自家製平打ち麺には愛知県産の地粉「きぬあかり」を採用している。
店主の新本さんが毎朝7時には店に到着し完成させるスープは、沸騰させないように最新の注意を払いながら4時間ほど炊きだした濁りのない鶏ダシと醤油をバランスよく配合。このスープと自家製麺麺で作られる看板メニューの「醤油鶏そば」と野菜をたっぷりとってもらえるようにと考えた「那古野タンメン」がメニューの柱だ。奥さん曰く「スープも麺も日々改良を重ね進化をしているため、オープン当初食べられた方は驚かれるかもしれません」と笑顔。これも、よりおいしいものを提供したいという新本さんの探求心があればこそのエピソード。確かに「醤油鶏そば」をいただいたところ、濃厚な鶏の旨みと醤油の奥深い味わいを感じる後味スッキリのスープとツルっと喉越しの良い麺の相性の良さ、名古屋コーチンから作る鶏油の豊かな香り、噛むほどに旨みが広がるジューシーで肉厚な奥三河どりの炙りチャーシューに感激する。この味を求めリピーターになる客が多いというのにも納得だ。豪華バージョンを味わうならエビや煮卵をトッピングした「那古野特製鶏そば」や「那古野タン特製タンメン」もおすすめ。また、サイドメニューで味わえる肉の旨みをしっかり感じられる「しゅうまい」や〆にスープをかけて味わうと絶品とのうわさも高い「炊き込みご飯」も注文の多い一品だ。
那古野の人々の温もりに触れ
自身の作る一杯を
とことん追求
地域に根付いた
ラーメン店を目指す
「はる樹で出している中華そばのスープは2~3日火入れをすることで熟成させ、うなぎのタレのように継ぎ足しながら作るスープなんです。このスープを“育てていく”という感覚とはまさに真逆の、作りたてのスープで鶏のストレートな味わいと醤油のおいしさを楽しんでもらえるラーメン店を出したかった」と日々中華そばと向き合う中で思いを温めてきたという新本さん。新店を出すなら栄や名駅などの繁華街から少し離れたところで、名古屋市東区の白壁や泉のような落ち着いた街でやってみたいとの思いで物件を探していたところ、5年目にして出合ったのがこの場所。
「以前中区に住んでいたものの、那古野のことはあまりよく知りませんでした。名古屋駅から徒歩10分ほどなのに古い木造家屋が立ち並び、懐かしさを感じられるこの場所にビビッときた」と話す。
那古野にラーメン店とは珍しさもあり、建物のオーナーに出店への経緯を伺ったところ「新本さんは、今あるものに満足せず日々ラーメンと真摯に向き合い、一生懸命に仕事をしているこだわりの職人。新店が少なく、まだ那古野の色に染まっていない新長屋筋は、那古野初のラーメン店がオープンするにふさわしい場所だと思いました。それにこの場所は那古野への出入り口でもあるため、名古屋駅への行き帰りにでも気軽に立ち寄れる良さがあります」と話してくれた。
店をオープンする前に那古野にある店を何軒か食べ歩きをしたという新本さん。その際に自身がこの地でラーメン店を開くことを話すと、みなさんが言ってくれた「がんばってね」の言葉やラーメン店ができることを喜んでくれている姿に触れ、この地の人の温かさを実感したという。だからこそ、地域の方に何回も通ってもらえる地域密着の店にしていきたいとの思いはもちろん、「まだまだ発展する要素の多いこの地域の将来性に期待するだけでなく、各店舗や地域の方々と力を合わせもっといい街にしていけたら。その中の一店舗でありたい」と語ってくれた。
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- 鶏そば 那ご乃樹
とりそば なごのき - TEL : 070-9006-6176
- 住所 : 名古屋市西区那古野1-17-16
- 営業時間 : 11:30~14:00
18:00~21:00 - 定休日 : 無休
- 鶏そば 那ご乃樹